台湾人採用の秘訣は、「あうんの呼吸」の排除

 新型コロナウイルスの蔓延により、これまでの生活様式がガラッと様変わりしています。企業活動も同様です。特に採用活動は、説明会や選考におけるオンライン活用が一気にスタンダードになっていく様相です。台湾人採用も例外ではありません。様々なツールが開発され、採用現場の景色が劇的に変わりつつある中で、「アフターコロナ」時代の台湾人採用で留意すべきポイントについてお話しします。

 台湾人採用と日本人採用の決定的な違いは、採用する側と文化的背景が違う人材を選考しなければならないという点です。多くの台湾人材の考え方が、自分に合った「職(Job)」が何かであり、「会社(Company)」は二の次であるケースが多いということは大きな相違点であり、留意すべき事項の一つです。

 もう一つ、台湾人材の採用においては、「期待と推測のコミュニケーションを排除する」という点に意識を傾ける必要があります。オンラインでコミュニケーションをとる場合は特に、小さな表情の変化や全体の「空気感」が伝わらないため、発する言語に一層の明確さが求められます。

 日本語が持つ最大の特徴は、コミュニケーションの解釈を相手に委ねる点にあります。「以心伝心」「あうんの呼吸」をよしとするハイコンテクスト文化です。対して、日本語以外を母語とする台湾人材の場合、日本語のように相手側の「期待と推測を要するコミュニケーション」ではなく、実際に口から発せされた言語や表情、身振り手振りから伝わる直接的な情報でコミュニケーションをとります。

 台湾人材を選考する際に、日本語の持つ「含みを持たせた表現」が台湾人材に真意として伝わらず、小さな誤解を含んだまま選考が進み、いざ入社した後に「こんな人材だと思わなかった」「こんな会社だと思わなかった」と取り返しのつかないミスマッチに至るケースがあります。

 日本語の「含みをもたせた表現」で、度々例示されるのが「検討します」の解釈です。

 商談や接客現場などで、提案に対する返答を保留する常套句として「検討します」はよく使われます。その時の条件や環境によりますが、日本の場合、検討しますと言われた際、「やんわりと断られたのかな」と解釈するケースが多いのではないでしょうか。

 これに対し、海外の方の場合、「検討するといったので、承諾の可能性を検討しているもの」と言葉の額面通り受け取るため、断られた際に「おい、検討するといっただろ!」とトラブルになるケースがあるというお話です。

 もちろん「検討する=承諾する」ではないので、仮に断ったとしても間違いではありません。直接的に「断る」ことにより先方が感じるであろう「落胆」に対する「配慮」としてワンクッション置いているのですが(日本のいい文化ですね)、事の本質である「Yes or No」がはっきりしているのであれば、ストレートに伝えることを優先すべきということです。

 言語や宗教など、文化が違う者同士がわかりあい、会社の発展のための共通言語を持って業務に当たるためには、「たぶん分かってくれるだろう」と相手に期待せず、自分の意図を最大限に相手に伝える努力をすることが大事です。

 「アフターコロナ」の採用シーンで、オンライン採用ツールは不可欠でしょう。オンライン採用になった事で、相手にうまく意図が伝わらないことを懸念されるかと思います。しかしながらオンラインでは、そもそもノンバーバルなコミュニケーションが難しいことが明白なので、より直接的な表現に頼ることになるため、結果的に台湾人とのコミュニケーションが図りやすい環境だと言うこともできます。

 現在、商談やアポイントもオンラインで済ませるケースが増えています。オンラインに置き換わる事で「時間が短くなった」と感じられる方も多いのではないでしょうか。これはまさにオンライン化されたことで、含みをもたせた表現が減り、より直接的な表現を使うようになったからだと考えられます。

 ここに台湾人との円滑なコミュニケーションのヒントがあります。アフターコロナ時代のオンライン採用は、台湾人とのコミュニケーションの質を上げる絶好の機会と言えるでしょう。

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